【シミュレーション】35歳エンジニアが月5万円を5年間運用したら何が起きたか?

はじめに

結論から言うと、年収700万円クラスのエンジニアが月5万円を「iDeCo・新NISA・特定口座」の3本柱に自動積立で5年間続けた場合、試算上の実質リターン(含み益+節税効果)は約70.7万円になります。本記事では、35歳ソフトウェアエンジニア「Kさん」という架空のモデルケースを用い、数字で見える「始める意味」と「落とし穴」を解説します。

※本記事はシミュレーションであり、登場する「Kさん」は実在の人物ではなく、想定条件に基づく架空のモデルケースです。投資には元本割れリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。具体的な投資判断はご自身の状況に基づき、専門家にもご相談のうえご確認ください。制度・税制に関する情報は2026年7月時点のものです。

モデルケース「Kさん」の想定条件

このシミュレーションで使用するのは、テック企業勤務の35歳エンジニア「Kさん」という架空のモデルです。

  • 年齢:35歳(独身・都内在住)
  • 職業:ソフトウェアエンジニア(テック企業勤務)
  • 年収:700万円/手取り月収 約45万円
  • 月の投資余力:5万円
  • 投資経験:ほぼゼロ(預金のみ)
  • 開始時の貯蓄:200万円
  • シミュレーション期間:5年間

手取り45万円から生活費・家賃・貯金を除いた「無理なく投資に回せる現実的な金額」として月5万円を設定しました。月3〜5万円は、エンジニアの収入帯でよく聞かれる投資余力の範囲です。

採用した3本柱戦略とは?

Kさんが選んだのは「税制優遇をフルに使い、低コストインデックスで長期保有する」というシンプルな戦略です。複雑なトレードは行っていません。

Pillar 01:iDeCo(月2万3,000円)

掛金が全額所得控除になるため、運用成果に関わらず「節税」という形のリターンが発生します。全世界株式インデックスファンドで運用し、老後資金として完全に切り離して管理しました。

Pillar 02:つみたてNISA → 新NISA(月2万円)

運用益・配当が非課税になる制度です。S&P500連動ETFを中心に積立を継続。2024年からの新NISA移行後は非課税枠を段階的に拡大しました。ただし、これらの資産は市況によって元本割れする可能性があります。

Pillar 03:特定口座(月7,000円)

「いざという時に使えるお金」として流動性を確保するための枠です。国内REITを混在させ、分散効果も狙いました。

毎月の積立は全て自動引落で設定し、積立後に相場を頻繁に確認する運用は行っていません。「最初に設計を固めて、あとは自動化する」という考え方が、この戦略の根幹です。

5年間の推移シミュレーション(年率5%想定)

以下は、想定利回り年率5%(全世界株式インデックスの過去平均に近い値)で計算した場合の推移です。実際の運用成果を保証するものではなく、長期シミュレーションの基準値として使用しています。

経過年数累計投資額評価額含み益節税効果累計
1年目60万円61.8万円+1.8万円+5.5万円
2年目120万円126.8万円+6.8万円+11.0万円
3年目180万円195.2万円+15.2万円+16.6万円
4年目240万円267.3万円+27.3万円+22.1万円
5年目300万円343.1万円+43.1万円+27.6万円

5年後の結果はどうなる?

評価額の含み益(+43.1万円)に、iDeCoによる節税効果の累計(+27.6万円)を合算すると、試算上の実質リターンは約70.7万円です。投資総額300万円に対し、試算上は約23.6%のプラスという結果になりました。これは年率5%という想定に基づく試算であり、実際の市況次第で結果は変動します。

途中で評価額が落ち込む局面もある?

シミュレーション期間中には、世界的な利上げショックなどで評価額が一時的に大きく落ち込む場面も想定されます(例:▲18%程度)。過去の市場でも、こうした下落から翌年以降に回復した局面が観測されていますが、将来もそうなることを保証するものではありません。下落局面でも積立を止めない「定額積立」は、平均取得単価を平準化する効果が期待できますが、これは元本割れリスクを消すものではない点にご留意ください。

iDeCoの節税効果はどのくらい?

Kさんの年収帯(700万円)では、iDeCoの掛金2万3,000円/月が全額所得控除になります。年間で概算約5.5万円の所得税・住民税が軽減される計算です(実際の軽減額は所得・控除状況により異なります)。5年間の合計は約27.6万円。相場の変動に左右されず得られるという点で、投資初心者にとって比較的手堅い出発点といえます。

エンジニアが資産形成で意識したい4つのことは?

  1. 「自動化」で感情的な判断を減らす:毎月の判断をなくすことで、感情的な売買を防ぎ、長期の積立を継続しやすくなる。
  2. 節税効果は相場に左右されにくいリターン:iDeCoの所得控除は相場の状況に関係なく得られる効果で、特に年収600万円超で効果が大きくなりやすい。
  3. 下落局面は平均取得単価を下げる機会にもなり得る:定額積立なら下落時に多くの口数を買えるため、長期で見れば平均取得単価の平準化につながる可能性がある(ただし元本割れリスクがなくなるわけではない)。
  4. 早く始めるほど複利の効果を活かしやすい:月5万円でも長期間続ければ複利の効果は大きくなりやすい。30代のうちに始めることには一定の合理性がある。

同じ戦略を10年続けたらどうなる?

同じ条件(月5万円・年率5%想定)で10年間続けた場合、投資総額600万円に対し、評価額は試算上約776万円になります。節税効果(10年間で概算約55万円)を含めた実質リターンは、試算上約230万円前後に達する計算です。5年間と比べて後半の伸びが大きくなるのは、複利の効果が時間とともに強まるためですが、これもあくまで年率5%を仮定した試算であり、実際の結果を保証するものではありません。

次回は「年収1,000万円エンジニアの場合、戦略はどう変わるか?」をシミュレーション。iDeCoの節税効果が変化する仕組みと、新NISAの1,800万円枠の使い方を解説します。

よくある質問

このシミュレーションの数字はそのまま実現する?

いいえ。年率5%は想定利回りであり、実際の市況によって結果は変動します。投資には元本割れリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。

iDeCoと新NISA、どちらを優先すべき?

iDeCoは所得控除による節税効果が相場に左右されにくい一方、原則60歳まで引き出せません。新NISAは非課税で運用しつつ、必要になれば引き出せる流動性があります。どちらも活用しつつ、資金の使途に応じて配分を決めるのが一般的です。

暴落時に積立を止めるべき?

定額積立を継続すると下落局面で多くの口数を購入でき、平均取得単価の平準化につながる可能性があります。ただし、これは元本割れリスクをなくすものではなく、継続するかどうかはご自身のリスク許容度に応じて判断してください。

まとめ

本記事では、35歳エンジニアの架空のモデルケースを通じて「月5万円・5年間」の資産形成シミュレーションを解説しました。

  • iDeCo・新NISA・特定口座の3本柱で月5万円を自動積立
  • 5年間の試算上の実質リターンは約70.7万円(含み益+節税効果、年率5%想定)
  • 下落局面でも積立を継続する設計にしていた
  • 同条件で10年継続した場合、評価額は試算上約776万円規模になる計算

資産形成に「完璧なタイミング」はありません。エンジニアが得意とする「設計して自動化する」という発想を資産形成に転用することは、再現性を高める一つのアプローチです。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘・推奨を目的とするものではありません。投資は自己責任で行い、最終判断はご自身で、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。

タイトルとURLをコピーしました