はじめに
結論から言うと、OS・アプリケーション用のSSDと、研究データ・モデルファイル用のSSDは物理的に分けるべきです。理由は、書き込み負荷の集中によるドライブ寿命の低下と、OS障害時にデータそのものを巻き込むリスクを避けるためです。加えて2026年はNANDフラッシュの供給不足でSSD価格が高騰しているため、購入タイミングの判断も重要になっています。本記事では、研究・開発用途を想定したNVMe SSDの選び方を解説します。
※本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。SSDの価格・在庫状況は変動が激しいため、購入時は最新の実勢価格を確認してください。
なぜOS用とデータ用のSSDを分けるべきか?
主な理由は3つです。第一に、SSDには書き込み可能な総量(TBW:Total Bytes Written)に上限があり、OSのログやキャッシュの頻繁な書き込みと、研究データの大容量な読み書きが同じドライブに集中すると、寿命の消費が早まります。第二に、OSやアプリケーションの不具合でドライブが破損した場合、同じドライブに保存していた研究データも同時に失うリスクがあります。第三に、大容量データの読み書き中にOSの動作が一時的に重くなる(I/Oの競合)ことを避けられます。以前の記事で触れた「1TB+2TBのデュアル構成」は、この考え方に基づいています。
Gen4とGen5、どちらを選ぶべき?
NVMe SSDの世代ごとのシーケンシャル速度の目安は、Gen3が約3,000〜3,500MB/s、Gen4が約6,500〜7,400MB/s、Gen5が約12,400〜14,800MB/sです。一般的な用途(OS起動、文書作成、通常のアプリケーション利用)では、Gen4で体感差は十分に得られており、Gen5の恩恵は限定的とされています。一方、ローカルLLMのモデルファイルを頻繁に読み込み直す作業や、大容量の実験データ・8K動画のような連続転送を伴う用途では、Gen5の転送速度がボトルネック解消に直結します。用途を分けて考えると、OS用はGen4で十分、研究データ用は用途次第でGen5を検討する、という判断がしやすくなります。
研究データ用SSDはどのくらいの容量が必要?
ローカルLLMのモデルファイルは、7Bクラスで数GB〜十数GB、20Bクラスになると数十GBに達します。複数のモデルを切り替えて試す場合や、画像生成AIのCheckpointモデル(1つ数GB〜10GB超)を複数導入する場合は、あっという間に容量を消費します。研究データ用としては2TB以上を目安にし、余裕を持たせておくと運用がしやすくなります。
2026年のSSD価格高騰にどう対応すべき?
2026年はNANDフラッシュメモリの供給不足により、SSDの実勢価格が2025年同時期と比べて1.5〜3倍程度まで上昇しているという報道が複数あります。主要メーカーの一部は年内の生産枠が完売しているとも報じられており、必要な容量が決まっているのであれば、値上がりを待たずに早めに確保する判断が合理的な場面もあります。逆に、現状の容量で困っていない場合は、無理に高値で買い増す必要はありません。購入前には、価格.comやAmazon等で直近の実勢価格を必ず確認してください。
具体的な構成例
- OS・アプリケーション用:Gen4 NVMe SSD 1TB程度
- 研究データ・モデルファイル用:Gen4またはGen5 NVMe SSD 2TB以上(用途がローカルLLMや大容量データの頻繁な読み書きであればGen5を検討)
SSDはあくまで作業用のストレージであり、バックアップの代わりにはなりません。重要な研究データは、別途外付けストレージやクラウドへのバックアップも併用してください。具体的なバックアップ手順は以下の記事で解説しています。
▼PC退役時のデータバックアップと削除術▼

よくある質問
SATA SSDではダメ?
SATA接続のSSDは速度がボトルネックになりやすいため、研究データやAIモデルの読み書きが多い用途にはNVMe SSD(マザーボードに直接挿すM.2タイプ)を選んでください。
マザーボードがGen5に対応していないと、Gen5 SSDは使えない?
物理的には装着できますが、Gen5対応スロットがないマザーボードでは、Gen4相当の速度に制限されて動作します。Gen5の性能を活かすには、マザーボード側もGen5対応であることを確認してください。
今すぐ買うべき?それとも待つべき?
2026年はNAND供給不足による価格高騰が報じられており、下落を待つより早めに確保する方が合理的とする見方もあります。ただし、現時点で容量に困っていない場合は急ぐ必要はありません。実勢価格の動向を見ながら判断してください。
まとめ
研究・開発用途のPCでは、OS用と研究データ用のSSDを分けることで、寿命の消耗とデータ消失リスクを同時に抑えられます。一般用途はGen4で十分ですが、ローカルLLMや大容量データを頻繁に扱う場合はGen5も選択肢に入ります。2026年はSSD価格が高騰傾向にあるため、購入タイミングも含めて計画的に検討してください。