はじめに
結論から言うと、個人の技術資料をもとにAIに質問応答させたい場合、手軽さを優先するならGemini Notebook(旧NotebookLM)、Claudeでの作業と一体化させたいならClaude Projects、外部送信を一切避けたいなら自前のローカルRAG(Ollama+ベクトルDB)が選択肢になります。本記事では、RAG(検索拡張生成)の基本と、この3つのアプローチを比較します。
※本記事は2026年7月時点の公式情報に基づいています。各サービスの機能・料金は更新が速いため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
RAG(検索拡張生成)とは何か?
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、AIが回答を生成する際に、あらかじめ用意した資料(技術文書、論文、社内マニュアル等)を検索し、その内容を根拠にして回答する仕組みです。AIの一般的な知識だけに頼らず、自分が読み込ませた資料の範囲内で回答させられるため、ハルシネーション(もっともらしい誤り)を抑えやすく、出典を明示できる点がメリットです。
個人が技術資料でRAGを構築する3つの方法とは?
方法1:Gemini Notebook(旧NotebookLM)
Googleが提供するツールで、2026年7月に「NotebookLM」から「Gemini Notebook」へ名称が変更されました。アップロードした資料だけを根拠に回答する「グラウンディング」という仕組みを採用しており、回答には出典(引用元)が明記されます。音声解説・動画解説・マインドマップ・スライド生成など、資料を別形式に変換する機能(Studio機能)が充実しているのも特徴です。Googleアカウントがあれば無料で利用を開始でき、有料プラン(Google AI Pro等)にアップグレードすると、1ノートブックあたりのソース数上限や音声解説の生成数上限が拡張されます。
方法2:Claude Projects
Anthropicが提供する機能で、プロジェクトごとに資料(ナレッジベース)とカスタム指示を保持できます。Anthropic公式ヘルプセンターによると、無料プランでも最大5つのプロジェクトを作成可能です。有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise)では、プロジェクトの資料量がコンテキストウィンドウの上限に近づくと自動的にRAGモードが有効になり、扱える資料量を最大10倍まで拡張できます。普段のコーディング作業や文章作成をClaudeで行っている場合、同じ環境内で技術資料を参照させられる点が利点です。
方法3:自前のローカルRAG(Ollama+ベクトルDB)
資料を一切外部に送信したくない場合の選択肢です。Ollamaでローカルにモデルを動かし、資料をベクトルデータベース(Chroma等のオープンソースツール)に格納して検索させる構成を自分で構築します。構築の手間は最も大きいものの、データが自分のPC・社内ネットワークの外に出ない点は他の2つにはない強みです。Ollamaの基本的な導入方法は以下の記事で解説しています。
▼ローカルLLM(Ollama)を研究データ解析に使う方法▼

3つの方法はどう使い分ければいい?
| 項目 | Gemini Notebook | Claude Projects | 自前ローカルRAG |
|---|---|---|---|
| 導入の手軽さ | 非常に高い(アカウントのみ) | 高い(アカウントのみ) | 低い(構築の知識が必要) |
| データの外部送信 | あり(Google管理下) | あり(Anthropic管理下) | なし(自分の環境内で完結) |
| 無料での利用 | 可能(上限あり) | 可能(最大5プロジェクトまで) | 可能(ハードウェアが必要) |
| 強み | 出典付き回答、音声・動画等への変換 | コーディング作業との一体化 | データ主権の完全な確保 |
資料を外部に出すこと自体に制約がない個人利用であれば、Gemini NotebookかClaude Projectsのどちらかで十分なケースが多いです。普段どちらのAIを軸に作業しているかで選ぶのが現実的です。一方、機密性の高い研究データや社外秘資料を扱う場合は、自前のローカルRAGを検討する価値があります。
利用時に注意すべきことは?
Gemini Notebook・Claude Projectsのいずれも、個人プランでは入力データがモデルの学習に使われないことが明記されていますが、個人情報や社外秘情報を含む資料をアップロードする前には、所属機関や勤務先のセキュリティポリシー、各サービスのデータ処理ポリシーを必ず確認してください。特に社外秘の技術文書は、可能な範囲で匿名化・一般化してから格納するのが実務的な安全策です。
よくある質問
RAGとファインチューニングは何が違う?
ファインチューニングはモデル自体を追加学習させる手法で、コストと専門知識が必要です。RAGはモデル自体を変更せず、質問時に関連資料を検索して回答に組み込む手法のため、個人が手軽に「自分の資料に詳しいAI」を作る場合はRAGの方が現実的です。
Gemini NotebookとClaude Projects、無料でどこまで使える?
Gemini Notebookは無料でも利用開始でき、ノートブックあたりのソース数等に上限があります。Claude Projectsは無料プランでも最大5つのプロジェクトを作成できますが、大量の資料を扱う際に自動拡張されるRAGモードは有料プラン(Pro以上)が必要です。いずれも最新の上限は公式サイトで確認してください。
機密情報は入れても大丈夫?
個人プランではモデルの学習に使われないと各社が明言していますが、所属機関の規定で外部送信自体が禁止されている場合は、Gemini NotebookやClaude Projectsではなく、自前のローカルRAGを検討してください。
まとめ
個人の技術資料でRAGを構築する方法として、Gemini Notebook・Claude Projects・自前のローカルRAGの3つを比較しました。手軽さを取るか、データ主権を取るかで最適な選択は変わります。まずは普段使っているAIサービスのProjects/Notebook機能を試し、必要に応じてローカル構築へステップアップする流れが現実的です。