この記事でわかること:育休中の週末だけを使って、AI(Claude)と一緒にブラウザゲーム・ツールを合計14個作った過程の記録です。「AIに任せれば全部速い」わけではなく、任せられた部分と、結局自分で判断するしかなかった部分がはっきり分かれました。その線引きを、実際に起きた失敗も含めて共有します。
なぜ育休中にゲーム制作を始めたのか
本業はJTCのR&D主任で、育休中は当然ながらまとまった作業時間は取れません。空くのは週末の、それも細切れの時間だけです。もともとAI活用・ハードウェア・資産形成の3カテゴリで記事を書いてきましたが、記事執筆は「まとまった集中時間」が前提になる作業で、今の生活リズムとは相性が悪くなっていました。
一方で、ブラウザで動く軽量なゲームやツールは、1本あたりの作業単位が小さく、週末の空き時間に区切って進めやすい性質があります。「低メンテナンスで続けられる副業的コンテンツ」を探していたところに、この形がはまりました。
何を作ったか——ゲーム6本・ツール8本
最終的に、定番の2048・スネーク・マインスイーパー・神経衰弱・15パズル・ブロック崩しの6本と、複利シミュレーター・PDF結合・画像リサイズ/WebP変換・QRコード生成/読み取り・ビンゴ確率シミュレーターなど8本のツールを公開しました。すべてサーバーへのアップロードなしでブラウザ内だけで完結する設計にしています。
実際に遊べるものは、こちらにまとめてあります。
AIが得意だった部分
コード全体の一括修正が速い
途中でサイト構成を変更した際(フォルダ階層の変更や、広告タグ・計測タグの追加など)、対象が10本を超えるファイルに及ぶことが何度もありました。1つずつ手作業で直すのは現実的ではありませんが、AIに任せると数十ファイルへの一括反映が数分で終わります。ここは明確に得意な領域でした。
技術調査が速い
外部ライブラリ(QRコード生成・PDF操作など)のAPI仕様や、最新のCDN配信URLを都度調べながら実装を進められたのも助かった点です。ドキュメントを自分で読みに行く手間が大きく減りました。
実装前の検証を徹底できる
ゲームのロジック(当たり判定や勝敗判定など)を、実際の画面を作る前にNode.jsで独立してテストしてから実装する、という手順を毎回徹底できたのは大きかったです。感覚では分からない計算ミスを、事前に機械的に潰せます。
逆に、AIに任せきりにできなかったこと
曖昧な指示から生まれたズレ
最初に作った独自アレンジのアクションゲームは、操作時にキャラクターが「ワープしたように動く」「当たり判定がどこにあるか分かりにくい」という状態になっていました。原因は、操作方法について私が具体的な指示を出していなかったことでした。結局このゲームは作り直し、代わりに万人が知っている定番のマインスイーパーに差し替えることになりました。AIの実装力の問題ではなく、発注側の指示の解像度がそのまま出力の質に直結する、という当たり前の教訓です。
実機でしか気づけない不具合
神経衰弱ゲームで「違うペアを引いても裏返らない」というバグがありました。原因はデータの更新順序に起因する、事前のロジック検証だけでは見抜けない類のものでした。実際に自分の手で触って初めて発見できたバグです。同様に、スマホでの操作時に画面のスクロールとゲーム内操作が競合する不具合も、実機確認で複数回見つかりました。机上のテストと実機確認は、どちらも省略できない工程だと実感しました。
「どこまでやるか」の判断
サブドメインを取得するタイミング、検索エンジンにインデックスさせるページの範囲、広告の配置方針——これらはコードの正しさとは別の、事業判断そのものでした。AIは判断材料や選択肢は提示してくれますが、最終的にどこまでリスクを取るかを決めるのは、結局自分の役目でした。
まとめ
AIとの制作を通して見えたのは、「実装のスピードと検証の徹底度」は明確に上がる一方で、「指示の解像度」と「実機での確認」、そして「事業としての判断」は代替できない、という役割分担でした。育休という限られた時間の中でも、この分担がはまれば継続的にものを作り続けられる、という手応えは得られています。
作ったもの一覧はlab.spia-net.comで随時更新していきます。よければ覗いてみてください。
よくある質問
プログラミング未経験でも同じことができますか?
私自身は化学系のR&D職で、Webフロントエンドの専門的な経験はありません。ただし、コードの内容を読んで大まかに理解できる程度の技術的な素養は前提になっていると感じます。完全な未経験からでも試す価値はありますが、出力されたコードの妥当性を判断できないと、気づかないまま不具合を公開してしまうリスクはあります。
公開までどれくらいの期間がかかりましたか?
育休中の週末を中心に、複数週にわたって少しずつ進めました。まとまった稼働時間として計測はしていませんが、1本あたりの作業単位が小さいため、隙間時間の積み重ねで完成させやすい形式だったと感じています。
費用はかかりましたか?
ゲーム・ツール自体はサーバー処理を持たない構成のため、追加の運用コストはかかっていません。サブドメインの取得費用のみ発生しています。