【シミュレーション】年収1,000万円エンジニアの場合、iDeCo・新NISA戦略はどう変わるか?

資産形成・財務戦略

はじめに

結論から言うと、年収1,000万円クラスになると、iDeCoの節税効果は税率区分(累進課税)の上昇によって年収700万円クラスより大きくなりやすく、さらに2026年12月分からiDeCoの拠出限度額そのものが引き上げられる予定です。本記事では、前回の「年収700万円エンジニアのシミュレーション」と同じ条件設計を用い、年収1,000万円の場合に何が変わるのかを試算します。

※本記事は架空の条件に基づくシミュレーションであり、特定の個人の実例ではありません。投資には元本割れリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。税額・控除額は前提条件(独身・給与所得のみ・基礎控除等の標準的な控除のみ)に基づく概算であり、実際の税額は家族構成や他の所得・控除状況により異なります。具体的な判断は税理士等の専門家にご相談のうえ行ってください。制度・税制に関する情報は2026年7月時点のものです。

年収1,000万円ケースの想定条件は?

  • 年齢:35歳(独身・都内在住、想定)
  • 職業:ソフトウェアエンジニア(企業年金なしのテック企業勤務)
  • 年収:1,000万円/手取り月収 概算約60万円
  • 月の投資余力:15万円
  • シミュレーション期間:5年間

前回の年収700万円ケース(月5万円)と比較しやすいよう、投資余力を月15万円(3倍)に設定しています。手取り額は年収から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた概算値で、実際の金額は扶養状況や加入している社会保険の種類によって変動します。

3本柱の配分はどう変わる?

Pillar 01:iDeCo(月2万3,000円)

企業年金のない会社員の拠出限度額は、2026年7月時点で月2万3,000円です。ただし、2026年12月分(2027年1月引落分)から、この上限が月6万2,000円に引き上げられる予定です(企業年金がある場合は企業年金との合算で月6万2,000円)。このシミュレーションは制度改正前の現行上限(月2万3,000円)で計算していますが、改正後は拠出額をさらに引き上げられる可能性がある点に留意してください。

Pillar 02:新NISA(月10万円)

新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の合計最大360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。月10万円(年120万円)であれば、つみたて投資枠のみで年間上限に到達する水準です。年収700万円ケース(月2万円)より拠出余力が大きいため、非課税枠をより早く積み上げられます。ただし、これらの資産は市況によって元本割れする可能性があります。

Pillar 03:特定口座(月2万7,000円)

NISAの非課税枠を使い切った後の受け皿として、課税口座での積立を継続する枠です。流動性の確保という位置づけは前回のケースと同様です。

5年間の推移シミュレーション(年率5%想定)

前回同様、想定利回りは年率5%としています。実際の運用成果を保証するものではなく、比較のための試算値です。

経過年数累計投資額評価額含み益
1年目180万円185.4万円+5.4万円
2年目360万円380.4万円+20.4万円
3年目540万円585.6万円+45.6万円
4年目720万円801.9万円+81.9万円
5年目900万円1,020.2万円+120.2万円

iDeCoの節税効果は年収700万円ケースとどう違う?

iDeCoの節税額は「掛金×所得税・住民税の合計税率」で決まるため、所得が上がり税率区分が上がるほど、同じ掛金でも節税額は大きくなります。年収1,000万円クラス(課税所得の水準によっては所得税33%+住民税10%=合計43%程度の区分に該当するケースを想定)では、月2万3,000円の掛金に対し、年間の節税額は概算で約11.9万円、5年間の累計では概算約59万円になります。前回の年収700万円ケース(5年間累計約27.6万円)と比べ、掛金は同額でも節税効果は2倍以上に拡大する計算です。

項目年収700万円ケース年収1,000万円ケース
iDeCo掛金(月額)2万3,000円2万3,000円
想定税率区分(概算)所得税20%+住民税10%所得税33%+住民税10%
節税額(年間・概算)約5.5万円約11.9万円
節税額(5年累計・概算)約27.6万円約59万円

この試算は、課税所得の水準によって適用される税率区分が変わるため、あくまで一例です。実際の税率区分は給与収入以外の所得や各種控除によって変動するため、正確な節税額は源泉徴収票等をもとに個別に確認する必要があります。

5年後の結果はどうなる?

評価額の含み益(+120.2万円)に、iDeCoの節税効果(概算約59万円)を合算すると、試算上の実質リターンは約179万円です。投資総額900万円に対し、試算上は約19.9%のプラスという結果になりました。年収700万円ケース(約23.6%)よりやや低い比率になっていますが、これは投資総額が大きくなった分、iDeCoの節税効果(定額に近い部分)が全体に占める割合が相対的に小さくなるためです。

年収が上がったら意識したい3つのポイントとは?

  1. iDeCoの節税効果は税率区分とともに大きくなりやすい:同じ掛金でも、課税所得の水準が上がるほど節税額は増える傾向にある。
  2. 2026年12月分からのiDeCo拠出上限引き上げに備える:企業年金のない会社員は月2.3万円→月6.2万円に引き上げ予定(2026年7月時点の予定情報)。手続き時期は各金融機関の案内を確認する必要がある。
  3. NISAの非課税枠拡大ペースが上がる:投資余力が増えるほど、生涯非課税保有限度額1,800万円に到達するまでの期間は短くなる。

よくある質問

iDeCoの拠出上限はいつから変わる?

2026年12月分(2027年1月引落分)からの引き上げが予定されています。企業年金のない会社員は月2万3,000円から月6万2,000円へ、企業年金がある場合も企業年金との合算で月6万2,000円までとなる見込みです。具体的な手続き時期は各金融機関の案内を確認してください。

年収が上がるとNISAとiDeCo、どちらを優先すべき?

一概には言えませんが、税率区分が高いほどiDeCoの節税効果は大きくなりやすいため、まずiDeCoの上限まで拠出し、残りをNISAに回すという順序で検討されることが多いです。ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せないため、流動性が必要な資金はNISAや特定口座に配分するなど、資金の使途に応じたバランスが重要です。

この試算はそのまま自分に当てはまる?

いいえ。税率区分や手取り額は扶養状況・他の所得・控除の有無によって個人差が大きく、本記事は独身・給与所得のみを前提とした概算です。正確な数値は源泉徴収票等をもとに確認するか、税理士等の専門家にご相談ください。

まとめ

本記事では、年収1,000万円クラスのエンジニアを想定した架空のケースで、iDeCo・新NISAの節税効果と資産形成シミュレーションを解説しました。

  • iDeCoの節税効果は税率区分の上昇とともに大きくなりやすい(試算上、年収700万円ケースの2倍以上)
  • 2026年12月分からiDeCoの拠出上限が引き上げ予定(企業年金なしの会社員は月6.2万円へ)
  • 5年間の試算上の実質リターンは約179万円(含み益+節税効果、年率5%想定)

収入が増えるほど、税制優遇制度をどう組み合わせるかによる差は大きくなります。制度改正のタイミングも踏まえ、拠出配分を定期的に見直すことが実務的な出発点になります。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘・推奨を目的とするものではありません。投資は自己責任で行い、最終判断はご自身で、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。

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